【演劇・ミュージカル ≪舞台のツボ≫】

  (up 2004/3/12

「燃えよ剣」

現在、大河ドラマでも「新選組!」が放送中だが、日本人にとって新選組は、時代が変わっても色あせない歴史の中のキラ星。
激動の幕末、武士ではないのに町の治安を任され、次第に日本史大転換のうねりの中心部にかかわっていく新選組。そして、それを構成する個性豊かな隊員達は、やはり知れば知るほど興味深い。その姿を、歴史小説の緻密さと鋭い人物描写で描いた傑作小説が、司馬遼太郎の「燃えよ剣」だ。
それをベースに、ラサール石井が脚本を、ラッパ屋の鈴木聡が演出に当たる。主演の土方歳三には、人気、実力ともに30代俳優の中で群を抜く、上川隆也。明治座という広い舞台を得て、迫力の殺陣と、感動の日本ドラマが繰り広げられるはずだ。

≪この舞台のツボ [1] 土方歳三という男≫

新選組隊長・近藤勇、隊員で結核を患った美少年剣士・沖田総司など、新選組にはドラマになる人物が多く、新選組の中での人気順位もあるようだ。
そんな中で土方は、自分にも他人にも厳しく、鬼と呼ばれていたという。
温和な近藤に代わって、実質的に厳しく隊を取り締まり、作戦を練る参謀でもあったらしい。しかしその反面、豊玉(ほうぎょく)という句名を持つほどの俳句好きで、木や草花など、自然を見ては素朴な一句を詠む一面もあった。

≪この舞台のツボ [2] 土方経験済みの上川≫

主演の上川は、所属する劇団、演劇集団キャラメルボックスの公演でも、土方を演じている。それは「風を継ぐ者」、キャラメルの数多いレパートリーの中でも特に人気の高い作品だ。この作品のベースになったのも、司馬遼太郎の「燃えよ剣」。キャラメルの公演時、上川は参考のために原作を読んで、土方像の理解に役立てたという。違う作品ではあるが、その時の洞察は今回の「燃えよ剣」にも大いに生かされることだろう。

≪この舞台のツボ [3] 明治座が若くなる?≫

明治座と聞くと、松平健をはじめとする時代劇スターの劇場という印象が強い。しかし今回は、上川をはじめ、元・夢の遊眠社で、現在は数々のドラマでもおなじみの羽場裕一、イケメン俳優の葛山信吾、富田靖子と、出演者の平均年齢はググッと若い。明治座経験者は、隊長・近藤役の風間杜夫のみ。当然、客席も若くなるはずで、明治座に興味はあったけれど行くきっかけがないと思っていた人には絶好のチャンス。館内のおみやげ屋さん、また、劇場周辺の情緒あふれる街並みなど、他にはないロケーションも楽しもう。



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