【演劇・ミュージカル ≪舞台のツボ≫】

  (up 2004/2/27

大人計画「ドライブイン カリフォルニア」

演劇界の枠を超えて活躍し、その名前はつねに熱い注目を集める、劇団大人計画主宰の松尾スズキ。
彼が、大人計画とは別に立ち上げたユニットが日本悲劇総合協会だ。
松尾流・良質の悲劇にこだわるニッソーヒが、8年前の旗揚げ公演で上演した名作「ドライブイン カリフォルニア」を再演する。
片桐はいり、秋山奈津子らおなじみのメンバーに、小日向文世、小池栄子、仲村トオルら、松尾ワールド初参加組、そして、久々の舞台出演となる田口トモロヲが加わって、また新たな伝説が生まれそうだ。


≪この舞台のツボ [1] 大人計画との違い≫

松尾がニッソーヒを立ち上げたのは、大人計画での“残酷さと笑いのミックス”とは違う、悲劇性を前面に出した作品がやりたくなったから。
そして、長年一緒にやってきた劇団員同士では恋愛モノがやりづらかったから。つまりニッソーヒは松尾にとって、笑いにこだわり過ぎることなく、悲しいラブストーリーが上演できる場所。確かに「ドライブイン──」は、作品中にさまざまな因縁、怨念が渦巻いてはいるが、悲しく美しい愛に貫かれた物語だ。

≪この舞台のツボ [2] 初&続投&旧友の顔合わせ≫

劇団公演ではなかなか実現しない大胆なキャスティングも、ニッソーヒの特徴であり楽しみな点だ。今回は、初演の続投組として、秋山奈津子、片桐はいりという、松尾が信頼を置く実力派。
大人計画からは猫背椿、田村たがめ、松尾自身が続投し、村杉蝉之介、荒川良々が初登板。松尾作品初参加組では、小日向文世、仲村トオル、小池栄子という個性豊かな顔ぶれが。さらに注目なのは、久々の舞台出演となる田口トモロヲ。かつて松尾の舞台の常連だった田口が、どんな表情を見せるのだろう。

≪この舞台のツボ [3] 実年齢に近づいたキャスト≫

脚本は、初演時のものを基本的に書き換えずに使用。当初から完成度が高かったこともあるが、もともと書かれていた役の年齢が、実は今回のキャストの年齢に近いのだ。初演から8年後のこの再演バージョンで、松尾が当初からイメージしていた「ドライブイン カリフォルニア」の世界が、もしかしたら本当に完成するのかもしれない。



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