【演劇・ミュージカル ≪舞台のツボ≫】

  (up 2003/12/12

「おはつ」

新橋演舞場の正月公演「おはつ」は、松たか子が主演する時代劇。“命をかけて人を愛する”ことをテーマに、遊女と青年の運命的な恋を描く。脚本は、この夏シアターナインス(松本幸四郎が主宰する現代演劇を上演するユニット)に書き下ろした「実を申せば」が大好評だったマキノノゾミ、演出には若手女性演出家の売れっ子・鈴木裕美があたる。佐々木蔵之介、渡辺いっけい、小市慢太郎ら、松をめぐる男たちにも期待。

≪この舞台のツボ [1] ストーリーの原点≫

現代に残る歌舞伎の人気演目の作者といえば、鶴屋南北と近松門左衛門。「おはつ」は、近松作品のなかでも特に人気の高い「曽根崎心中」をモチーフにしている。「曽根崎」は、遊女お初と徳兵衛の悲しいラブストーリーで、この作品の大ヒットが、江戸時代、心中ブームを巻き起こした。

≪この舞台のツボ [2] 座頭公演≫

新橋演舞場や明治座では、いまも昔からの慣習に従って、主演俳優を“座頭”と呼び、その公演全体を取り仕切る立場と見なす。特にお正月公演の座頭は、華やかさ、話題性、俳優としての力量、広い会場を埋める集客力などがあるということで俳優にとっては名誉であり、重責でもある。「おはつ」の座頭は当然、松。実は彼女、99年の「天涯の花」で、21歳という演舞場史上最年少の座頭を勤めた。00年の「嵐が丘」、そして「おはつ」と、今回が3度目の座頭となる。

≪この舞台のツボ [3] 演出家・鈴木裕美≫

この作品の演出を手がける鈴木裕美は、80年代、大学の同級生らと劇団自転車キンクリーツを旗揚げ、小劇場で人気を博し、次第に演出家としての頭角を現してきた人だ。近年では、おなじみのミュージカル「ピーターパン」や、大竹しのぶと鈴木杏の共演で話題になった「奇跡の人」など、大きな舞台の演出も多く、期待を集めている。



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