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洋楽
スザンヌ・ヴェガ                              (2007/8/10)
スザンヌ・ヴェガ

NYを拠点とする女性シンガー・ソングライター、スザンヌ・ヴェガの来日公演が決定。6年ぶりの最新アルバム『ビューティ&クライム』では、2001年の同時多発テロ後のNYを舞台とする物語を、様々な視点から綴り、プライベートとパブリックのドキュメント性を宿す作家性を活かしており、ステージでもそんな説得力を発揮してくれそうだ。

スザンヌ・ヴェガは、NYを拠点に活躍する女性シンガー・ソングライターの代表的な存在だ。1985年にデビューした頃は、内省的であると同時に社会に対する批判的な視点とアコースティックな要素を活かしたサウンド、知的な透明感に満ちた穏やかなボーカル・スタイルなどで注目を集めている。'87年のセカンド『孤独(ひとり)』に収められ、全米3位に輝いたヒット曲の『ルカ』は、なんと児童虐待をテーマにするなど、他に並ぶ者のいないユニークなポジションで活動してきた。

プロデューサーとして有名なミッチェル・フルームと結婚してからは、スタジオ・ワークを凝らした刺激的なアプローチに踏み込んでいった。一方で2001年に発表された前作『ソングス・イン・レッド・アンド・グレイ』では、離婚の痛みを反映したものが目立つなど、サウンド面でも作詞の部分でも、本人のドキュメント的な側面が色濃く出たものが多い。

そしてそれから6年ぶりとなる今回の新作アルバム『ビューティ&クライム』は、2001年に同時多発テロに見舞われて以降のNYを舞台にした『アニヴァーサリー』などのヘビーなナンバーがある一方で、再婚により獲得した幸福感を歌った『バウンド』なども収められており、彼女自身のプライベートな部分とワールド・ワイドな社会状況が錯綜した内容となっている。もちろんそこには彼女がNYを活動の拠点としているという事情もあるが、それらが彼女の作品としての一貫した説得力を持っているのは、自分自身をも歌の中に登場するひとりの人間としてとらえるユニークな視点があるからこそといえるだろう。

今回の来日公演では、プライベートの充実もあって、ますます磨きをかけたシンガー・ソングライターとしての手腕の冴えを伸び伸びと披露してくれることになりそうだ。


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