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ソニー・ロリンズ
ソニー・ロリンズ 写真


“モダン・ジャズ最後の巨人”という異名を持つテナー・サックス・プレイヤー、ソニー・ロリンズ。50年代からジャズの王道を突き進んできたベテランが、先日正式に引退を表明した。しかも半世紀に渡って君臨してきた彼が最後にライブツアーを行う場所として選んだのは日本。まさに一時代の幕切れを象徴する歴史的なツアーを目撃しよう。

1930年にNYで生まれたソニー・ロリンズが、傑作『サキソフォン・コロッサス』をレコーディングしたのは、1956年。まだ年齢にして25歳の時のことだった。歴史的に“モダン・ジャズの金字塔”と評価されている本作は、ハード・バップと呼ばれる50年代のジャズのスタイルの最高峰であった。

しかし50年代後半に入ると、ジャズはジョン・コルトレーンやオーネット・コールマンの活躍により、急進的な傾向を強めたフリー・ジャズの時代に突入していく。特にコルトレーンの与えた影響はあまりにも強く、ジャズのサックス奏者の大半が、コルトレーンのスタイルを意識せざるを得ないような時期が訪れた。そうした中でソニー・ロリンズは、『サキソフォン・コロッサス』で、一度ピークにまで達してしまっていたこともあり、そこから新たな試行錯誤を行う中で、引退してしまうほどの深刻な壁に直面する。61年にカムバックした後もそうした葛藤は続いた。だが70年代に入ってからは吹っ切れたように自分のスタイルを押し進めていく。そのスタイルはコルトレーンに較べるとオーソドックスな王道ともいうべきものであったが、豪快なブロウと機知やユーモアに富んだ演奏は、他の追随を許さぬ天才的な閃きに満ちていた。さらに80年代に入るとローリング・ストーンズの『TATTOO YOU』のレコーディングへの参加などもあって、ロック・ファンの間でも、彼はサックス奏者のチャンピオンとして広くその名を知られることとなった。そうした気運は現在にいたるまで不変。つまり壁にあたった時期はあったものの、彼は半世紀にわたってジャズの王者として君臨し続けてきたのである。

そんな彼が、このたび正式に引退を表明。しかもその最後のライブツアーは、日本でのステージとなる。これはまさしく大きな時代の節目を象徴する歴史的な公演だ。


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