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結成から15周年を迎えたアメリカのパンク・グループ、ランシドの来日が決定した。ハードコアにスカ、レゲエなどのエッセンスを取り入れたサウンドは、リーダーのティム・アームストロングの友人でもあった故ジョー・ストラマーの発想を受け継ぐものでもあり、70年代後半から始まったパンク・スピリットの本流を発揮してくれるはず。
ランシドはボーカル&ギターティム・アームストロング、ベースのマット・フリーマン、ドラムスのブレット・リードからなるスリー・ピース・グループとして、1991年にサンフランシスコで結成された。'93年に名門レーベルのエピタフからファースト・アルバム『Rancid』をリリース、アメリカとヨーロッパにてツアーを開催した後、元UK SUBSのラーズ・フレデリクセンがギター&ボーカルで加入し、以後不動のラインナップとなっている。
このようにイギリスのパンクの流れも継承している彼らのサウンドは、ストレートな8ビートに加え、レゲエやスカのエッセンスも取り入れたもので、70年代後半のパンク・ムーブメントのシンボルともいうべきクラッシュ、特にジョー・ストラマーの発想に通じる部分が少なくない。そうしたこともあって彼らと交流を持つミュージシャンには、ツアーをいっしょに行ったラモーンズをはじめとして、ダンスホール・レゲエのブジュ・バントン、スカのスペシャルズなど多岐に渡っている。
そうした中でも見逃すことができないのは、ジョー・ストラマーとの親交だ。実際にティムが運営するレーベルのヘルキャットは、ソロとなったジョーと契約するなど、先輩後輩という意味を越えた深い精神的なつながりがあった。その分ジョーが他界した時、ティムが受けた打撃も大きかったが、彼らが2003年にリリースしたアルバム『インデストラクティブル』は、そうした悲しみを乗り越え、音楽自体の不滅の生命力を謳歌するポジティブな姿勢を打ち出した作品となった。他にもこの前後のメンバーは、離婚や肉親の他界など、さまざまな苦難に見舞われたが、現在の彼らはそうした逆境をバネに、ヒューマンな温もりに満ちたパンク・バンドとしてのスタンスを確立。今回の来日でもその本領を発揮してくれるはずだ。
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