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洋楽
ビョーク                                   (2007/11/30)
ビョーク

作品ごとにワールド・ワイドなスケールで繰り広げて来たコラボレーションにより、前人未到の領域を切り開いて来た孤高の歌姫ビョークが、7年ぶりに単独での来日公演を行う。今年5月に発表した最新アルバム『ヴォルタ』が、先鋭的な彼女の作品の中ではかなり親しみやすい内容だということもあって、活気のあるステージとなりそうだ。

現在の音楽シーンで、ビョークのポジションは極めてユニークだ。まず彼女は、北欧の小国であるアイスランドの出身であるが、それにも関わらず英米を中心に構成されている音楽シーンの最前線で活躍し続けて来たということ自体が、異例といえる。しかも彼女は、シーンの潮流に自分の作風をシフトしていくのではなく、むしろアイスランドの風土で培って来た独自の感覚をもとにした先鋭的なサウンド・アプローチで、シーンに刺激を与えてきたのだ。

シュガーキューブスなどでの活動を経て、1993年にソロ・アーティストとしてデビューした彼女は、まずエレクトロニカを基調とする音作りを展開していった。2001年の『ヴェスパタイン』は、そうしたエレクトロニカ・サウンドにクラシックなどのアカデミックな要素も投入したストリングスが、極めて密度の濃い融合を果たし、それまでの流れを完成させた作品である。それに続く2004年の『メダラ』は、肉声のみで緻密な音空間を構成した実験的なアルバムで、彼女の活動が新たなサイクルに入ったことを示すものだった。

そして今年5月に発表した最新アルバム『ヴォルタ』は、ヒップホップ系のプロデューサーとして活躍しているティンバランドをはじめ、コンゴの人力アフロ・テクノ・グループであるコノノNo.1、マリのコラ奏者トゥマニ・ジャバテ、中国式の琵琶を奏でるミン・シャオ・ファン、アイスランドの女性によるブラス・セクションなど、今までにも増して冒険的にさまざまなルーツを持つアーティストとのコラボレーションを展開。全体としては生演奏のダイナミズムを結びついたグローバルなメッセージ性が、強烈なインパクトを生んでいる。今回のツアーはこの新作を携えて行われるとあって、躍動感に満ちたリズムと唯一無二の歌声が調和した新たな境地を、存分にアピールしてくれそうだ。


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