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洋楽
ベン・ハーパー                              (2006/03/24)
ベン・ハーパー

今月リリースした最新作『ボウス・サイズ・オブ・ザ・ガン』では、ワールド・ミュージックに連なる広大な音楽性を改めてアピールしたベン・ハーパー。「音楽を演るためにこの世に生まれてきた」と以前から語っていた彼だが、件の新作を2枚のディスクで構成するほどパワーがますます高まっているだけに、格別のステージとなりそうだ。

ハワイ音楽の歴史の中で生み出されたスライド用アコースティック・ギターの名器、ワイゼンボーンを駆使したオーガニックなサウンドで注目を集めてきたベン・ハーパーが来日する。94年に『ウェルカム・トゥ・ザ・クルーエル・ワールド』でソロ・デビューを果たした彼は、ジャック・ジョンソンから強いリスペクトを受けていることもあって、サーフ・ミュージックの新しい流れにもリンクする形で紹介されることが多い。

だがじつは彼の音楽はブルースを主軸にしながらも、レゲエやアラブ音楽などのテイストを取り入れたワールド・ミュージック的な要素もあり、ヒップホップ以降のファンキーなビート感覚も備えたものだ。

元々彼に影響を与えたタジ・マハ―ルも、ブルースにはじまり、カリプソ、ジャズ、フォーク、レゲエ、アフリカ音楽など、広大な音楽の世界を旅してきたミュージシャンであり、ベン・ハーパー音楽性もそうした流れの中に位置づけることができる。さらに彼の歌は、ボブ・マーリィなどに代表されるスピリチュアルかつ社会的なメッセージ性も濃厚だ。現在の音楽シーンは、あまりにも多くのジャンルに区分けされているが、このように21世紀において、音楽を生まれてきた源流に向かって解き放つかのようなベン・ハーパーのスタンスは、きわめて貴重なものといえる。

そんな彼が今月リリースした最新アルバム『ボウス・サイズ・オブ・ザ・ガン』は、彼の作風の幅広さを効果的にアピールするため、それぞれ傾向の異なる楽曲を収めた白盤と黒盤で構成された異色作となった。奏でられるべき音楽に対してオープンに向かっていく彼のエネルギーが、ここまで高まっている以上、イノセント・クリミナルズを率いた今回の来日公演のステージもおおいに期待したい。


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