【洋楽】   (up 2004/6/18)
ダットサンズ
 ニュージーランド出身の新人ながら、すでに昨年3回にもわたる来日を実現させるほどの注目を集めている期待の星。元レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズのプロデュースのもとで完成させたセカンド・アルバム『アウタ・サイド/アウタ・マインド』を携えた今回のジャパン・ツアーは、決定的な飛躍を印象付けるはず。

 現在のロック・シーンでは、サウンドの多様化細分化が進む中で、それぞれの世代に対応したスタイルが続々と生まれている。しかしそんな中で2002年にアルバム・デビューを果たしたダットサンズは、極めて例外的な存在と言えるだろう。なぜなら彼らは、レッド・ツェッペリンやAC/DCといった70年代のハード・ロックの影響を強く感じさせるサウンドで、メンバーと同じ20代のリスナーだけでなく、彼ら自身よりはるかに年上のオルタナ世代、ニューウェイブ世代、ロック・クラシックス世代も巻き込み、ロックの細分化に真っ向から立ち向かうような形で人気を獲得してきているからだ。それでいて興味深いのは、彼らの立ち居振る舞いに、戦略的な気配はほとんど感じられず、むしろ天然ともいうべきピュアな情熱をモチベーションとしている点。そんなスタンスを確立できたのは、彼らが細分化したロックの情報が押し寄せる大都会ではなく、ニュージーランド北島のケンブリッジという小さな街で結成されたという事情が関わっている。つまり過剰な情報から距離を置かざるを得ない環境で自分達のスタイルを育むという、一見すると不利な状況がプラスに作用して、細分化した個々の世代に媚びるなく説得力を発揮する普遍的な逞しさを持つサウンドを獲得することができたのだ。

 今年リリースされたセカンド・アルバム『アウタ・サイド/アウタ・マインド』では、元レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズがプロデュースを担当し、そんな彼らの資質を強力にバックアップ。すでに昨年にはショウケースやフェスティバルも含めて3回もの来日を果たしている彼らだが、それを携えて行うことになる今回のジャパン・ツアーは、ロックの原点にある初々しい衝動を純化したサウンドの凄みを知らしめてくれるだろう。

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