【J-POP・ロック】   (up 2004/5/21
吉田拓郎

 瀬尾一三をコンサート・マスターに迎え、ブラス・セクションとストリングスを含む大編成で展開した昨年のツアーの模様を収めたライブ盤『豊かなる一日』を3月に発表した吉田拓郎。その彼が“TAKURO & his BIG GROUP with SEO again”と銘打ち、再びビッグ・バンドを率いて、代表曲の数々をゴージャスなアレンジで披露する。

 吉田拓郎が昨年行ったツアーは、70年にデビューして以来の長いキャリアを持つ彼にとっても特別の意味を持つものだった。なぜならこのツアーは、本来は5月からスタートする予定だったが、4月に肺ガンだと診断されて手術を受けたため、長いアーティスト生活の中で初めてツアーをキャンセル。その後肺活量を回復させるための特訓を経て、10月から改めてスタートし、体調を心配する多くのファンの前で、復活を印象付けたものだったからである。

  しかも“TAKURO & his BIG GROUP with SEO”と銘打たれたこのツアーは、プロデューサー、アレンジャーとしての長年の活躍でお馴染みの瀬尾一三をコンサート・マスターに迎え、ブラス・セクションとストリングスを含むビッグ・バンドを率いて展開するという異例の内容だった。その模様は、二枚組のライブ・アルバム『豊かなる一日』として今年3月にリリースされており、往年の代表曲も含む多くのレパートリーを、大編成ならではのゴージャスなアレンジで楽しませてくれる。

  そして今回、7月24日のつま恋エキジビションホールから開始される“TAKURO &his BIG GROUP with SEO again”は、昨年と同じビッグ・バンドによるツアーの公演数をさらに増やしたいわば拡大版。闘病からの復活を経て、ミュージシャンとしての意欲を激しく燃やしている拓郎が、重大な危機を見事に乗り切った者でなければ放つことのできない深みのある表現力で、そのパワーを存分に発揮する場となることは間違いない。

  何といっても長いキャリアを持つビッグ・ネームゆえに、古くからのファンを多数持つ彼だが、今回のツアーはそうした聴衆の期待に応えるだけでなく、日本のポピュラー音楽の流れの中でも一種特別な意味あいを持つツアーとして語られることになるだろう。



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