【洋楽】   (up 2004/4/30)
ブラックモアズ・ナイト

 ディープ・パープル、レインボウのギタリストとしてお馴染みのリッチー・ブラックモアのアコースティック・プロジェクト、ブラックモアズ・ナイト。ボーカルのキャンディス・ナイトと共にルネッサンス時代の文化へのリスペクトを込めて奏でる調べは、ヘビー・メタルのシンボルともいうべきリッチーの音楽性を、雄弁に伝えてくれる。

 ヘビー・メタルのパイオニア的な存在としてロック史に君臨するリッチー・ブラックモアは、熱心なクラシック愛好家でもあった。むしろヘビー・メタルの中にクラシックに通じるドラマチックなメロディを導入する先駆けとなったのが、リッチーだったといっても良いだろう。そんな彼が中世ルネッサンス時代の音楽を奏でたいという動機で、彼のプライベートなパートナーでもある女性ボーカリストのキャンディス・ナイトと共に立ち上げ、97年にアルバム・デビューを果たしたプロジェクトが、ブラックモアズ・ナイトだ。

  演奏はリッチーのアコースティック・ギターとキャンディスのボーカルを軸に、バイオリン、リコーダー、マンドリンなどのアコースティック楽器をはじめ、キーボード、ベース、ドラムスなどを従えたバンド編成で展開していく。レパートリーには、15世紀の作曲家が書いたものを元にしたものも多く、作詞はレインボウの作品に歌詞を提供していたこともあるキャンディスが担当している。

  ただしこのプロジェクトは必ずしもルネッサンス時代の音楽だけに拘泥しているわけではない。むしろ近年では、そうした音楽もルーツの一部とするリッチー・ブラックモアが、自分のやりたい音楽を、ジャンルの分け隔てなく披露していくための場となってきているようだ。アレンジは確かにこのプロジェクトならではの、アコースティッ クな質感を重視したものとなってはいるが、ディープ・パープルやレインボウ時代の楽曲も取り上げたり、曲によってはエレキ・ギターも披露するといったフレキシブルな姿勢は、ライブ盤『パスト・タイムス・ウィズ・グッド・カンパニー』でも示した通り。今回の来日も、メロディメイカーとしてのリッチーの本領を知りたいファンなら、何としても見届けておきたいところだ。




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