【洋楽】   (up 2004/3/19)
エアロスミス

 数あるロックのビッグネームの中でも、最も幅広い年齢にファン層を持つエアロスミスがやってくる。今回の手土産となる最新アルバムは、ブルースの名曲をエアロ流儀のワイルドなスタイルでカバーした『ホンキン・オン・ボーボゥ』。ジャック・ダグラスのプロデュースにより、バンドの原点に立ち返った彼らのエネルギーを浴びよう。

 70年代のデビューから30年以上のキャリアを持つベテラン、エアロスミス。良く知られているように彼らの歴史は決して平坦なものではなかったが、深刻なスランプから立ち直ってからは、何回もの黄金時代を迎え、その度に新たなファン層を獲得するという理想的な展開を迎えている。結果的にエアロスミスは、70年代のロック・クラシックス、80年代のヒップホップ、90年代のオルタナティブといったポピュラー音楽の多様化、細分化の流れに押しやられることなく、むしろ熱心な支持者がそれぞれの世代に存在する別格的なベテラン・グループとして、21世紀の音楽シーンの頂点に君臨している。

 そんな彼らが、今回の来日に先駆けてリリースする最新アルバム『ホンキン・オン・ボーボゥ』は、ブルースの名曲を多数盛り込んだ異色作。渋いカバーを行うのではなく、ワイルドでエロティックなエネルギーに満ちたエアロ流儀のブルージーなロックンロールとしてブルースを再解釈しているのだ。こうしたアプローチは、70年代からエアロスミスを聴いてきたファンならご存知のように、実はエアロスミスの初期の音楽性と直結するもの。他の誰よりもそれを分かっているのは、彼ら自身であることを裏付けるように、プロデューサーに『ロックス』など、最初の黄金時代を築く中で6人目のメンバーとまで言われたジャック・ダグラスを久々に起用している。つまり2002年のベスト盤『アルティメイト・エアロスミス・ヒッツ』で、それまでのサイクルを集大成した彼らは、バンドの原点に回帰する形で新たな一歩を踏み出したのだ。年輪を増しても決して渋く老け込まず、むしろ悪ガキ的とでもいいたくなるような瑞々しいパワーに満ちた現在の彼らのステージは、あらゆる世代のロック・ファンにとって強烈なカンフルとなるに違いない。



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