【洋楽】   (up 2004/3/5)
サラ・ブライトマン

 ミュージカルのトップスターとしての地位に甘んじることなく、クラシック、ヒーリング・ミュージック、ワールド・ミュージックなど、様々なフィールドを越境したユニークなサウンド・アプローチを行い、次々とアルバムをヒットさせてきた彼女が、昨年リリースした最新作『ハレム』をひっさげて行う期待の来日コンサート。

 イギリスの女性ボーカリスト、サラ・ブライトマンは、13歳の時に、ロンドン・ピカデリー劇場でステージ・デビュー。二番目の夫となったアンドリュー・ロイド・ウェッバーと出会ってからは、「オペラ座の怪人」「キャッツ」など、数々のミュージカルで活躍し、トップスターの座を確立した。さらに85年にはグラミー賞の最優秀クラシカル新人賞にノミネートされるなど、クラシックの歌手としても評価を得てきた。しかし現在に至る彼女のアーティストとしての歩みは、90年代に入ってから、さらに大きな飛躍を迎えることになった。エニグマの創始者であるフランク・ピーターソンのプロデュースにより、エレクトロニクスを駆使したワールド・ミュージック的なアプローチを開始したのだ。

 さらに昨年リリースした最新アルバム『ハレム』では、フランクの他、キリング・ジョークでの活躍でも知られるジャズ・コールマン、クラシックとロックをクロスオーバーした活動を展開中のバイオリニスト、ナイジェル・ケネディといったキーパースンも参加。収録曲のひとつ「ミステリアス・デイズ」では、イスラエルのイエメン歌謡の歌姫として名を馳せた故オフラ・ハザのボーカルをフィーチャーするなど、クラシック、ワールド・ミュージック、ロック、エレクトロニカなどのジャンルを自在に越境しつつ、中東世界へと踏み込んだサウンドを展開している。同時多発テロ以降、欧米とアラブ世界の間には、深刻な緊張関係が高まってきている。そんな中で、サラ・ブライトマンは、異質な文化圏同士が互いの存在を祝福しあうマルチ・カルチャーの可能性を、“世界で最も美しい”と言われる歌声で訴えているのだ。今回の来日公演では、エキゾチックなエロチシズムに満ちた音そのものが、深遠なメッセージと化すようなステージを見せてくれるだろう。


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