【J-POP・ロック】   (up 2004/2/20)
ゆらゆら帝国

 昨年は『ゆらゆら帝国のしびれ』『ゆらゆら帝国のめまい』『な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い』と合計3枚ものアルバムをリリースして絶好調ぶりをアピールした彼らの待望のワンマン・ライブが決定。多彩なスタジオ・ワークで、サウンドの幅を大きく広げた彼らのサイケデリックな帝国が、ステージの上に立ち現れる。

 ゆらゆら帝国が一般的な知名度を広げたのは、1998年にアルバム『3×3×3』でメジャー・デビューを果たしてからのことだ。しかしフロントの坂本慎太郎を中心に1989年に結成された彼らは、それまでにもライブハウスを中心に自分達のペースで着実にキャリアを積み重ねてきた。それは確実に彼らの糧となっている。派手な注目を集める前に、自分達の音楽性をしっかりと見つめる時間があったため、シーンの動向とは距離を置いた独自の存在感を確立することができたのである。

 ただし、だからといって彼らの作風が固定化したわけではない。むしろ近年のゆらゆら帝国は、サウンドの展開においてもさらに冒険的なアプローチを行っている。特に昨年2月に同時発売された2枚のスタジオ・アルバム『ゆらゆら帝国のしびれ』『ゆらゆら帝国のめまい』は、スタジオ・ワークを駆使して、いわゆるスリー・ピース・グループという編成にこだわらないフレキシブルな音作りを行い、古くからのファンを驚かせると同時に、斬新な着想に基づく刺激的なサウンドで、熱烈な評価を受けている。それのみならず11月には、直前のスタジオ盤の収録曲で構成したライブ・アルバム『な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い』を1000円という低価格でリリース。こちらではライブならではのダイナミズムに満ちた強烈なギター・サウンドを堪能させてくれた。

 結局、昨年は1年間に計3枚ものアルバムを発表するというハイペースの動きを見せたことになるが、その悠然とした佇まいは相変わらずで、むしろインスピレーションの赴くまま、柔軟に動き続ける自由をとことん謳歌することで、ファンの信頼を確かなものとしている。そこからさらに新たな一歩を踏み出す今回の公演は、まさに彼らの黄金時代を記すものとなるはずだ。



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