夏フェスが定着する気運の草分けとなったフジ・ロック・フェスティバルを主宰してきたスマッシュが贈る冬フェス“Magic Rock Out”が、関西と関東でオールナイト形式で行われる。今回の目玉はなんといってもパンクに大きな影響を与えた伝説的なグループ、ストゥージズを率いてのステージを行うことになったイギー・ポップだ！

　夏のロック・フェスティバルが完全に定着してきた中、近年新しいタイプのイベントとして賑わいを見せているのが、真冬のロック・フェスティバルだ。その中でも今年３月に行われる“Magic Rock Out”は、フジ・ロック・フェスティバルの開催で、日本にロック・フェスを定着させる上で多大な貢献を果たしてきたスマッシュがおくる強力なイベントといえる。

　当然単なるオムニバス形式のコンサートではない。ワールド・レストランやクラブ・テントも設営した場内は、いわばロック・ファンのための祝祭空間というべきもの。フジ・ロックでも特定のアーティストを目当てにしたファンだけでなく、解放感に満ちた会場の雰囲気自体に惹かれて毎年訪れるリピーターの存在が知られているが、“Magic Rock Out”は、それと共通するノリを、オールナイトで堪能できる機会となるはずだ。

　もちろん出演者も洋邦ともに強力なアーティストがずらりと並んでいる。その中でも特に今回の目玉は、パンクのゴッドファーザーの異名を持つイギー・ポップが、彼の活動の原点となったストゥージズを率いて行うステージだろう。ストゥージズといえば、60年代後半に結成され、74年に解散した文字通りロック史の中の伝説的な存在であり、イギーはソロ・アーティストとなってからも何回も再結成を企てていたのはよく知られているところ。ストゥージズのメンバーであったロンとスコットのアシェトン兄弟が、昨年のイギーのソロ・アルバム『スカル・リング』に、参加したのを経て、いよいよ再編が実現したわけだ。彼らの名作『ファン・ハウス』を聞き込んできたファンならば、サックスのスティーヴ・マッケイがラインナップに入っているのもひときわ嬉しいはず。幅広い世代に語り継がれる特別な夜となることは間違いない。