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クラシック
 第37小節 メゾソプラノ歌手:波多野睦美
波多野睦美写真
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新宿育ちのつのださんから連載がまわってまいりました。九州は、大分と宮崎のハーフの歌い手、波多野です。こんにちは。聞くところによると最近は、東京の女子高生の間で方言で会話するのが流行っているそうですね。「今日は津軽弁で」などと、ガイド本で方言を攻略しては仲の良い子同士でしか通じないおしゃべりを楽しむそうです。

地方出身者にとってショックなのは、標準語だと信じて疑わなかった言葉が実は方言だった!と知ることです。最近標準語ではないと知って驚愕したのが、運転する時の用語「離合(りごう)」です。これは九州では比較的幅の狭い道路で2台の車がすれ違うことを意味します。これが方言だと知ったすぐ後のことでした。ある特報番組でキャスターの鳥越俊太郎さんが現地で取材するリポーターに向かって「その道で離合はできるのですかっ?」と呼びかけ、聞かれた相手は「???」と返答できず、という場面がありました。鳥越さんは確か長崎のご出身。。。

大分弁にはもうひとつ、なくてはならない交通用語があります。「一寸ずり」。これはひどい渋滞で少しずつしか前に進めないことを言います。故郷大分では交通情報でも堂々と「ただいまの時間、駅前は一寸ずりの状態です」などと使われています。この二つの言葉が標準語でないとは、一体自動車教習所の教官はどう説明するのでしょう?「さあ、今日は、一寸ずりになった道路での離合の練習だ!」と言いたい時に。

運転技術といえば、昔はマニュアルでの教習がメインだったものです。クラッチを踏みつつギアをチェンジする感覚は、発声における「息」と「チェンジ」(声の変わりめ)のコントロールに似ているように思います。アクセルを踏むとスピードが上がり、そのスピードに合わせてギアを変更していく、そのギアチェンジの際のクラッチとアクセルのバランスおよびタイミングがマッチしないとエンストを起こしてしまう。音域の移り変わりに伴って、声の響き具合が変わっていく、その際どのように息の流れを誘導していくか、車のギアチェンジとの共通点はかなりのものです。
息の流れが「一寸ずり」にならないように、歌い手は日夜努力しております。
次回のエッセイは、方言とは無縁のイメージ、チェンバリストの曾根麻矢子さんです。


≫次回は…チェンバリスト、曾根麻矢子さんです。


【コンサート情報〜チケット好評発売中!】

「サリー・ガーデン〜時を越える美しい愛の歌」
□2月10日(金) 高崎シティギャラリーコアホール(群馬)
 [出演]波多野 睦美(MS) & つのだたかし(Lu)
 [曲]ダウランド「悲しみよとどまれ」/イギリス古謡「グリーン・スリーブス」/ダウランド「流れよわが涙」他

「古歌・イタリア」〜ハクジュホール古楽ルネサンスシリーズ2006 第1回〜
□2月24日(金) ハクジュホール(東京)
 [出演]波多野 睦美(MS) & つのだたかし(Lu)
 [曲]ランディーニ「あふれる涙」/トロンボンチーニ「美しい処女」/ストロッツィ「聴いておくれ恋人たち」他

リュートソングコンサート
□3月12日(日) アルカスSASEBO(長崎)
 [出演]波多野 睦美(MS) & つのだたかし(Lu)
 [ゲスト]谷川俊太郎(詩人)
 [曲]モンテヴェルディ「おやすみなさいポッペア」/ダウランド「悲しみよとどまれ」/武満徹「三月のうた」他


メゾソプラノ歌手 波多野 睦美 (はたの むつみ) プロフィール
ロンドンのトリニティ音楽大学声楽専攻科を修了。
イギリス・ルネサンス文化の粋を極めたJ.ダウランドのリュートソング演奏でデビュー。以来、イタリア、スペインの古歌からロマン派・近代の歌曲、日本の作曲家の現代作品まで、歌曲を中心とする独自のレパートリーをもち、国内外で多くのコンサートを行っている。歌の言葉への誠実な取組み、常に新鮮なアプローチで、陰影に富む表情、心に残る人物像を描き出し、あたたかく潤いのある声で歌われるその歌は聴衆を魅了。オペラのジャンルでは『ダイドーとエネアス』(パーセル)の女王ダイドー、『オルフェーオ』(モンテヴェルディ)の音楽の精、『イドメネオ』(モーツァルト)の王子イダマンテなどを演じ、高く評価された。ラ・ボレアード、バッハ・コレギウム・ジャパン等、古楽オーケストラとの共演も多い。2001年アメリカでの中日韓米世界平和祈念コンサートで間宮芳生の「セレナーデV」を世界初演(05年にパシフィック・リム音楽祭で再演)。
2005年から王子ホールで自らプロデュースする「歌曲の変容シリーズ」を開始。今年6月には「子守唄のおまじない」と題して、ブリテン、エルガーら、イギリス近代歌曲を取り上げる予定。
「ひとときの音楽--バロックの美しい歌」「優しい森よ/ダウランドのリュートソング」(レコード芸術特選盤)「モンテヴェルディ 祈りの歌」「美しい日本の歌」「サリー・ガーデン」「イギリスの古いキャロル」などCD作品も多数。

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