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クラシック
 第28小節 ハーピスト:吉野直子
吉野直子写真
Photo:Eiji Shinohara
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細川さん、エッセイのリレーを、どうもありがとうございます!
細川さんは、シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン音楽祭からのお便りでしたが、私もこのエッセイが配信される頃には、細川さんが滞在された同じSalzauのお城で、リハーサルをしているでしょう。今井信子さんや五嶋龍さんなどと一緒に、武満徹とフランス音楽を中心とした、プログラムです。

今年の夏は、二回のヨーロッパ滞在を通じて、新しい体験をたくさんしました。まず、生まれて初めて、豪華客船に乗りました!「MS EUROPA」というドイツの船に、ルツェルン音楽祭からのアーティストの一人として乗ったのですが、二週間のバルト海クルーズのあいだにスウェーデン、フィンランド、ロシアのサンクト・ペテルブルグ、そしてリトアニアの各国を訪れました。私にとっては、どこも初めての国ばかりで、いくつかのコンサートで弾く以外は、船での生活や、各地の観光を楽しみました。特にサンクトペテルブルグでは、ロシアという大国の持つ、長い長い歴史や伝統を感じつつも、新しく時代と共に変わっていく様子を肌で感じました。

二回目のヨーロッパは、アイルランドのダブリンで行われた「世界ハープ会議」に参加することから始まり、オーストリアでの二回のコンサートを経て、完全なオフでクロアチアに行ってきました。かつてのハプスブルグ家の別荘地でもあったアドリア海沿いのリゾートでは、たくさんのドイツ人とイタリア人のヴァカンス客に囲まれながら、のんびりとした時間を過ごし、首都のザグレブでは、地元の人の日常生活を垣間見ることができました。クロアチアからはドイツに飛び、今はこの原稿を、フランクフルトの近くにある温泉の街ヴィースバーデンで書いています。

ヨーロッパはほとんどが陸続きですが、国境を越える度にそこに生活する人々の顔や文化や言葉が本当に変わります。
つながっていながら、独自のアイデンティティーを保つ。
日本みたいな島国にいると、なかなか実感できない、そんなことを感じながらヨーロッパでの時間を過ごしています。
秋には、細川俊夫さんのハープ協奏曲を演奏するために、初めてポーランドにも行く予定です。

日本は相変わらず暑いみたいですね。次にエッセイを引き継ぐのは、私の大切な音楽仲間であり友人である、ヴィオラの川本嘉子さんです。


≫次回は…ヴィオリスト・川本嘉子さんです。

■ハーピスト 吉野 直子 (よしの なおこ) プロフィール
ロンドン生まれ。6歳よりロサンゼルスにてS.マクドナルド女史のもとでハープを学ぶ。
1985年第9回イスラエル国際ハープ・コンクールに参加者中最年少で優勝し、国際的キャリアをスタートさせた。 これまでにメータ、シノーポリ、サヴァリッシュ、メニューイン、小澤征爾等の指揮で、ベルリン・フィル、イスラエル・フィル、フィルハーモニア管、フィラデルフィア管等と共演。室内楽の交流も幅広く、ヴァイオリンのクレーメル、ヴィオラのハーゲン、フルートのニコレ、ランパル、シュルツ、パユら世界の優れたアーティストたちと定期的に共演。
また、ハープの新作紹介も数多く、武満徹「そして、それが風であることを知った」、細川俊夫「ハープ協奏曲」などは、その代表的作品である。

近年では、アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、ブロムシュテット指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、NHK交響楽団、デュッセルドルフ交響楽団、ブーレーズ指揮グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ等と共演するほか、アバド指揮ルツェルン・フェスティヴァル・オーケストラ、小澤指揮サイトウ・キネン・オーケストラへ参加、室内楽、リサイタルなどを国内外各地で行っている。
レコーディング活動も活発で、これまでにフィリップス、ソニー・クラシカル、テルデック等から数多くのCDをリリースしている。

1985年アリオン賞、1987年村松賞、1988年芸術祭賞、1989年モービル音楽賞奨励賞、1991年文化庁芸術選奨文部大臣新人賞、エイボン女性芸術賞をそれぞれ受賞。国際基督教大学卒業。



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