桃ちゃん、バトンタッチありがとう。
私は近年ベートーヴェンのピアノ作品の演奏に集中的に取り組んでおり、主に協奏曲全曲を欧州、米州で演奏、そしてピアノソナタ全曲を東京浜離宮ホールと名古屋(スタジオルンデ)で行っています。
1999年にも、ロスアンジェルスでソナタ全曲演奏を行いましたが、ピアニストにとって、エベレストに上る位大変な計画でした。今回は山へ上る道を知ってはいるものの、毎回新しい発見があり、これから一生新鮮な付き合いを続けられるレパートリーを与えられた事を感謝しています。
ベートーヴェンと言いますと、ポートレートの真面目な顔つきなどから、とても厳格なイメージがありますが、実は彼が残した楽譜には、とても洗練されたジョークが沢山詰まっています。最近6歳になる娘が、始めてベートーヴェンの曲(ソナタ作品49の2)簡単なソナタと副題が着いた、実は、簡単ではない曲(!)を勉強し始めたとき、ベートーヴェンが作ったまったく人の意表つく転調を意識し分析しながら練習を進めました。
子供心にも面白かったらしく、時間があるごとに夢中になって、弾いていました。ある日の事、私が、ピアノ協奏曲1番のカデンツァを弾いていますと、”それベートーヴェンの曲でしょう!冗談ばかりだから”と、娘のコメントがありました。書かれた300年後、幼い子供にもはっきりと理解できる独自の言葉、楽しさを持っているベートーヴェンの偉大さに、あらためて驚きました。
これからは、ベートーヴェンと平行し、300年後にやはり独自の言葉により、人々に親しまれ、楽しまれる私たちの時代を代表する作曲も同時に取り入れた計画を色々と行いたいと思っています。
その一人に作曲家、又演奏家として、時代と国旗を超える芸術家野平一郎さんに、次回お願いしたいと思っています。
≫次回は…作曲家・ピアニストの野平一郎さんです。
|