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クラシック
 第19小節 オンド・マルトノ奏者/作曲家原田 節
原田 節 写真
本人写真: Photo by Yoko Kanno
イラスト: Illustration by Chie Harada
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 お〜い大井君、過分なご紹介、花粉にもめげずありがとでした。
この間C美術館で君が尋ねた『駄洒落の最大ヒットは?』という質問、ずっと考えていたんけど、やはりオイラにとって言葉の遊びというのはパフォーミングアートの一環だからね、その時々の受け手とのインタープレイで完成するのだから、次回作がいつも最大傑作というわけ。
それでもオリジナルとは別に、もし古典としての傑作を挙げるなら、志ん生が「火焔太鼓」の枕で語った、『蛇が血ぃ出してAへぇBびぃCちぃDでぇ』ってやつかな。これはもちろん後に山下洋輔さんたちがまとめた『AB海老はCD死んでもEFいいフライ』につながっていくのだけど、限定されたある状況でしか通じないしゃれではなく、全く無意味な抽象性が誠に美しくメリハリを持って普遍的に結晶しておる。
最近のラップも韻というかしゃれのかたまりだが、中学生の時、日本語は韻を踏めるのかというテーマで論文を書いて以来、音楽における主題と展開、あるいはちょっと角度を変えて眺めれば漫才におけるボケと突っこみにも通じるものとしてオイラにとっては生涯のテーマなのさ。ほら、オンド・マルトノの演奏だって右手がほんわかボケまくっているところを左手が適確なタイミングとスピードで突っこみまくる、あれさ。

 次回作といえば、今、動画入り2枚組CDを制作中。一枚は自作やけど、もうひとつはメシアンの六重奏『美しい水の祭典』もやってるんよ。楽器のことを少しでも知っていれば、あのオンド・マルトノ六台分を一人で重ねて録音する尋常でない困難さ、おおよそ実現不可能、演奏そのもののみならず、録音技術との戦い、わかってくれるだろう?六人でせえ〜ので演奏すれば全くなんの問題も無いわけだけど、あえて独りで、それもオンド・マルトノというとっても編集し辛い楽器でやる、あははマヌケだと笑っておくれ。
さぁもう次の人紹介しなくちゃ。児玉桃さん。何故、彼女かって?それはうふふ、またの機会さ。ベートーヴェンのフェスティヴァルで沸き立つナントの駅に降り立ったのはこれが二度目。彼女の美しいイントネーションのピアノを聴きにいかなくちゃ。

≫次回は…ピアニストの児玉桃さんです。

■オンド・マルトノ奏者、作曲家 原田 節(ハラダ タカシ) プロフィール
世界中のオーケストラとの共演やフェスティヴァルを飛び回る原田 節は、慶應大学卒業後渡仏、パリ国立高等音楽院オンド・マルトノ科を首席卒業、故ジャンヌ・ロリオ女史の下で研鑚を積んだ。現代音楽界での先進的な創作とともに、映画やテレビ、アニメやプレステ2に至るボーダーレスで一つの定義には収まりきらない活動は、第一人者の演奏家という評価のみならず、独自の哲学に裏打ちされた多様多彩な作品群の豊かさにより、作曲家としての地位もすでに確固たるものにしている。アジア初のオンド・マルトノ講座の開設、また《原田 節オンド・マルトノ六重奏団》を主宰、楽器の語彙の開発、レパートリーの拡充、後進の育成にも積極的に力を注いでいる。出光音楽賞、横浜文化奨励賞、ミュージック・ペンクラブ賞など受賞も多数。 コンサート予定

コンサート予定
▼オフィシャルHP:
http://mirabeau.cool.ne.jp/onde/



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