@ぴあメールマガジン クラシック アーティスト・リレー・エッセイ〜5線紙にのせて〜
第11小節 ピアニスト:田部京子
2004/11/17
皆さま、こんにちは。
仲良しの小川典子さんからバトンタッチした、ピアノの田部京子です。

各地で木枯らしも吹き、晩秋も色濃く感じられるこの頃ですね。
今年も早いものであと1ヶ月余り・・・
振り返ってみると世の中では色々なニュースがありましたが、特に今年は自然の脅威を感じさせられたような気がします。
記録的な猛暑、大雨や台風による水害、先月発生した新潟中越地震・・・
我々に多くの恩恵を与えてくれる自然ですが、一方でその脅威とも戦わなければいけない人間の運命というものをつくづく考えさせられます。
特に新潟地方はコンサートでも度々伺っていますので、これから訪れるあの長く寒い冬を目前に控え被災された方々の心中を思うと本当に胸が痛みます。
思えば約10年前、阪神淡路大震災の翌々日に大阪でソロリサイタルがありました。
公演延期の予想に反し予定通り行われたのですが、新幹線はストップ、飛行機で大阪へ降り立ちホールへと移動した私の目にも、大きなリュックサックを背負い両手にいっぱいの手荷物を抱えた多くの人々が皆歩いて神戸へと救援に向かっている姿が飛び込んで来ました。
コンサートのほうは、やはり直後の大混乱と神戸方面からの交通網のマヒで既にチケットを購入して下さっていた方の3分の2は会場に来られませんでした。
その後、大阪方面にはオーケストラとの共演などでは度々伺っていますが、神戸ではそれ以来初めてとなるソロリサイタルがつい先日あり、感慨深いものがありました。
「10年前には来られなかった・・・」という方々もいらして下さったその会場の熱い雰囲気に接し、今では震災の傷痕も癒え人々が平和な日常を取り戻した神戸の街と年月の流れを改めて痛感しました。

ところで、次のコンサートは11月18日、「シューベルト・チクルス(第3回)」が浜離宮朝日ホールであります。昨年の秋、シューベルトの175回目の命日に始まったこのチクルスは来年も7月・11月と続きますので、是非シューベルトの世界を楽しんで頂きたいと思います。
第3回目の今回、(4手のための)幻想曲op.103(D.940)で共演して頂く伊藤恵さんに次のバトンを渡したいと思います。
では、恵お姉さま、よろしくお願いします! !

≫次回は…ピアニストの伊藤恵さんです。
田部京子 写真

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■ピアニスト 田部京子 プロフィール
北海道室蘭市生まれ。4歳よりピアノを始め、故田中希代子氏に認められ指導を受ける。東京芸術大学附属音楽高校入学後、田村宏氏に師事。高校在学中、第53回日本音楽コンクールに最年少で第1位に輝き注目を集めた。東京芸術大学に進学後、文化庁派遣芸術家在外研修員としてベルリン芸術大学に留学、クラウス・ヘルビッヒ氏に師事。エピナール国際ピアノコンクール第1位、シュナーベルコンクール第1位、ミュンヘン国際音楽コンクール(ARD)3位、ショパン国際ピアノコンクール最優秀演奏賞など、輝かしい成績を収めている。
国内はもとより海外のオーケストラとの共演を重ね、現在、日本を代表する国際的ピアニストの一人として幅広く活躍しており、世界のトップアーティストからも厚い信頼をよせられている。常に新鮮で清冽な余韻を残す鮮烈な演奏は、数多くのファンを魅了し、コンサートばかりでなくCDでも根強い支持を集めている。レコーディング活動も活発で、DENON、CHANDOS(英)より合わせて20枚以上がリリースされている。シューベルトのソナタ集の録音は、いずれも各方面から絶賛されており、日本を代表するシューベルト弾きとしても注目を集めている。村松賞(音楽部門大賞)、第4回新日鉄音楽賞などを受賞。

オフィシャルページ
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