@ぴあメールマガジン クラシック アーティスト・リレー・エッセイ〜5線紙にのせて〜
第10小節 ピアニスト:小川典子
2004/11/03
パリの秋風にのって、工藤さんのフルートが、ロンドンまで聞こえてきました。こんにちは。ピアノの小川典子です。

英国は晩秋、陽が短くなりました。
先週、キャサリン・ストットとピアノデュオ日本ツアーを無事に終えたところです。私の故郷にオープンした「ミューザ川崎」で、キャサリンと計4曲演奏する、ピアノ協奏曲の饗宴を開きました。指揮の大友直人さんの素晴らしいリードと東京交響楽団の迫力あるサウンドに支えられ、実に楽しい演奏会でした。これからもミューザ川崎のアドヴァイザーの一人として、ミューザならでは、の演奏会を提案していきたいと燃えています。

世界はアメリカ大統領選挙の行方を、固唾を呑んで見守っていますが、私は、投票日にアメリカに乗りこみます。演奏会のあと、ハンバーガー片手にテレビにかじりつく自分を想像しています。ノースキャロライナ交響楽団と、ラフマニノフの「パガニーニ狂詩曲」を3回、弾いてきます。

飛行機に飛び乗ってロンドンに戻り、翌日はBBC名門番組、ウイグモアホールから生放送リサイタル。いちばん共感をおぼえるドビュッシーを演奏します。アラベスク二曲、前奏曲第二集全曲、そして、レントよりおそく。

11月後半は、これからライフワークのひとつになる演奏会シリーズに、時間を費やす予定です。11月18日(木)、ミューザ川崎の市民交流室で、私が主宰する「ジェイミーのコンサート」第一回を催します。自閉症をはじめとする、強烈な個性をお持ちのご家庭の方々に、平日の昼間、就学時間内に本格的な演奏会と茶話会を楽しんで頂く企画です。これは、私のロンドン下宿時代での体験がもとになっており、情熱をかたむけています。

来年も、浜離宮朝日ホールで続ける「クロードとモーリス」、ドビュッシーとラヴェルのシリーズを中心に、皆さんに各地でお目にかかれると思います。熱い音楽で寒い季節を楽しく盛り上げましょう。
ピアニストからピアニストへ。仲良しの田部京子さんにバトンタッチ!

≫次回は…ピアニストの田部京子さんです。
小川典子 写真

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■ピアニスト 小川典子 プロフィール
東京音楽大学付属高校を経て、ジュリアード音楽院に学ぶ。1983年日本国際音楽コンクール2位入賞。1987年リーズ国際コンクール3位入賞。これを機にロンドンと東京を拠点として活動を始める。日本の主要オーケストラはもとより、世界の主要オーケストラ、指揮者との共演も数多い。ベルゲン音楽祭、オーストラリア室内楽音楽祭、ラトビア音楽祭など海外の音楽祭に参加。英国ではBBC主催音楽コンクールの審査員を務める。
1996年の武満徹ピアノ作品集の録音依頼、北欧最大のレーベルBISと専属契約を結び、話題を呼ぶ15枚のCDをリリース。現在、ドビュッシー・ピアノ作品全集の録音が進行中である。2003年に発売されたドビュッシー・シリーズ2枚目は、英グラモフォン誌を筆頭に世界各誌で特選盤となっている。2001年、英国の実力派ピアニスト、キャサリン・ストットとピアノデュオを結成。2003年、2人のために作曲されたBBC委嘱作品、G・フィトキン作曲の2台ピアノ協奏曲「サーキット」を世界初演。タイムズ紙他で絶賛された。ストット&オガワの初CDは2003年秋に発売、2004年秋には日本ツアー敢行。今シーズンも国際的に活発に活動している。1999年文化庁芸術選奨文部大臣新人賞受賞。

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