@ぴあメールマガジン クラシック アーティスト・リレー・エッセイ〜5線紙にのせて〜
第5小節 指揮者:藤岡幸夫
2004/8/11
皆さん、こんにちは。リレーエッセイを頼んできた二村英仁君とは3月に初共演。
リハーサルにはいつもスーツにネクタイという姿で現れ、僕とは違って紳士なんだなぁと思ってたけど、彼のエッセイを読んで納得。また共演できるのを楽しみにしています。

さて、今は真夏。僕は夏が大好きで、夏の香りがする4月くらいからワクワクしちゃう。
ただ夏に嫌いなものがひとつだけある。それはお化けだ。僕は霊感の強いほうじゃないけどこの時期になるとお化けの噂が耐えない。子供のころからとにかくお化けは苦手。ホラー系のテレビや映画は絶対見ない。

ところで、僕が正指揮者を務める関西フィルのプレイヤーはこういう話が好きで、先日も姫路で「おなつ せいじゅうろう」というオペラを指揮したときも、悲しく死んでいったおなつとせいじゅうろうがオペラを見に来るという噂がもちきりで、練習中に突然譜面台が下がったりすると「おなつがいる」とか、弦が急に緩むと「せいじゅうろうがいるで」となる。
お化け嫌いの僕にはたまらなかったけど、本当に二人が見に来てたのか、演奏会はドラマティックだった。

ところで今月の14日に大阪のいずみホール(シンフォニーホールと並んで関西を代表する最も美しく音響の素晴らしいホール)でコンサートがあるが、このホールも「いずみちゃん」というお化けがいることで関係者の間では有名だ。
楽屋に使ってない部屋のドアが勝手にあいたり、指揮者室のトイレで声がしたりするらしい。
僕はこのホールの楽屋の指揮者室にいるときは必ず誰かに一緒にいてもらう。ただいずみちゃんがホールで演奏を聞いてるときはどれも素晴らしい演奏になるらしい。

14日のプログラムは、それこそ最後にはお化けが出てくる幻想交響曲。
真夏の夜は人を狂わす。狂った幻想をぜひともいずみちゃんと一緒に聴いてみませんか?
お待ちしています。さて僕の次は作曲家の吉松隆さんにリレーします。僕は人生の全部はもったいないけど半分は彼にかけてます。最近も英CHANDOSから僕がBBCフィルと作ってる吉松作品集の7枚目のチェロコンチェルトを発売したばかり。こちらも是非聴いてみてください。
それではチャオ!

≫次回は、作曲家の吉松隆さんです。
藤岡幸夫 写真
写真:設楽 茂男
写真提供:「メンズクラブ・ドルソ」99年秋号/アシェット婦人画報社刊

公演情報はこちらから
■指揮者 藤岡幸夫 プロフィール
慶應義塾大学文学部卒業。英国ノーザン音楽院指揮科卒業。
92年、英国人若手指揮者に贈られる「サー・チャールズ・グローヴズ記念奨学賞」を特例で受賞。94年のロンドンの夏恒例名物「プロムス」にデビューし大成功を収める。
BBCフィルハーモニック副指揮者、マンチェスター室内管弦楽団の首席指揮者を経て、現在はイギリスを拠点にヨーロッパ、オーストラリアなどで活躍を広げている。
95年より2003年2月まで日本フィルハーモニー交響楽団指揮者を務める。現在関西フィルハーモニー管弦楽団の正指揮者として積極的な指揮活動を展開している。
英CHANDOSと契約。今後も吉松隆全管弦楽作品を録音していく予定。
渡邉曉雄氏の最後の愛弟子であり、故ショルティのアシスタントを務めていた。
2002年度渡邉曉雄音楽基金音楽賞受賞。

オフィシャルページ
http://www.sachio-fujioka.net
Copyright (C) 2007 PIA Corporation. All Rights Reserved.
@ぴあ