>coba|旅する少年 stay gold|インタビュー|starcat|ぴあ

世界的アコーディオニストのcoba
人生という旅の中で作り上げたアルバム『旅する少年 stay gold』完成

coba

Live

〈coba live tour 2011 旅する少年〉
●1月25日(火)19:00
Zepp Nagoya
全席指定-5500円(別途ドリンク代必要)
中京テレビ事業[TEL]052(957)3333
※未就学児童は入場不可。
Pコード:122-510

チケット情報はコチラ

Release

album『旅する少年 stay gold』
3000円
CALMOLA BOSCONE
BOSC-0002

旅する少年 stay gold

数々の国際コンクールで優勝。ビョークのワールドツアーに参加するなど、世界的な活躍をしているアコーディオニスト、coba。クラシックや、舞台とのコラボレーションなど様々なジャンルでも活躍している人物だ。また最近では、フィギュアスケートの高橋大輔がcobaの曲を使用したことでも話題となった。そんな彼のアコーディオニストとしての出発点は、この名古屋だったという。実はこの地区との縁も深い彼が、約2年ぶりにアルバム『旅する少年 stay gold』をリリースした。その新作の話から、cobaの趣味の話、果ては今後の目標まで、幅広いcobaの話をどうぞ。

 

――今回のアルバム『旅する少年 stay gold』は、“旅”をテーマにしたとのことですが、なぜ“旅”を?

「僕の人生自体が、かなり旅をする人生なんですよね。きっとアコーディオンを選んでなかったら僕はこんなに旅していないはずだし、これほど多くの人々と出会っていなかった。旅していなかったら、そこからいろんなものを頂いて、それがまた次の夢に繋がっていくっていう、出会いの連鎖、夢の連鎖はおきていなかったと思うんですよ。去年から「魂の音楽祭〜マブイオト」というイベントを沖縄で始めたんですね。今年で2回目なんですけど、そこに全国各地からいろいろな方がいらしてくださり、終わった後にファンの集いを催したのですが、そこでお礼の言葉を下さる方がいるんです。例えば北海道の人なんかが。いやいや、お礼を言うのはこっちですって思うんですけど、またこの新しい音を作ってくれてありがとうって言ってくれる。普通立場が逆なのに、と思うところですが、本当にそう感じてくださる方がいるのは、僕にとって宝物だなって思うし、だからこそいい加減なことは出来ないなとも思うんですよね。今回のアルバムは33枚目だから、やり続けることの難しさもさることながら、単にやり続けることのみならず、いつも新鮮でいたい、いなくてはいけないとも思う。やっぱりいろいろ経験してキャリアを積めば積むほど、これはこういうことだねって自分の中で勝手に戸棚に分けてしまいこんでしまう。これは本当に危険だなって思うわけですよ。今までのノウハウを使い続けると絶対に想像力が欠如していくし、それ以上のものは出来ないから。やっぱりいつもビギナーでいる、いつも新鮮でいなければならないと、自分に命じてモノを作る。例えば今年、高橋大輔くんが僕の曲でスケートリンクで舞ってくれた。あの演技を見て、十数年前にレコーディングした僕の『eye』という曲が生まれ変わったなと感じたわけですよ。彼は音楽家じゃないけど、僕の『eye』という曲を全然違うフィーリングでとらえてくれた。彼は自分で編集もやってくれたんだけど、絶対ここはカットするだろうってところを長く使ってるわけなんですよ。そこは曲の中ではカオスな部分なんだけど、そういうカオス的な部分を彼は愛してくれて、そこであのステップを踏んだわけですよ。僕は音楽家として、自分の曲を編集するならこうだというセオリーを持ってしまっている。主題があって、展開して、そしたらここはカットしてエンディングにいくっていう、音楽家としての常識をどこかでもってしまってる。そういうことに関係ない人が僕の曲をバッサリ切ってくれて、全然違う解釈をしてくれたことが、面白かったんですよね。音楽家同士のコラボもさることながら、全く異なるジャンルのコラボもしてみたいんですよね。全然違うジャンルって、多分最初は違いすぎてあまりクリエイティブなことにならないと思うんですよ。お互いを理解することからはじめなきゃいけないんだけど、そういうコラボもやってみたいな」

――お話を伺っていると、“旅”というのは、単にどこか違う場所に行くというだけでなく、cobaさんにとって人との出会いということでもあるんですね。

「“旅する少年”っていうのは、自分自身そうあれっていう宣言でもある。あと旅は人生そのものだから、結局みんな旅する少年なんだなって思うんですよね。それと、輝き続けることって本当に大変だけど、やっぱり輝き続けたいし、輝き続けてほしい。自分の好きな人たちであればあるほどね。“stay gold”には、そんな願いも込めてますね」

――では曲のほうを。旅、と考えると、アルバムを通して聞くと不思議な旅に行った気になります。

「そうだと思います。例えば1曲目の『night over the night』っていう曲は、3月に始めてロシアのサンクトペテルブルクでコンサートをやった時、あるおばさまが楽屋に訪ねてきてくださって、よかったって褒めて下さったんですよ。だけど、冬は寒いから次回は夏にいらっしゃいって仰って。夏はこのあたりは白夜でとっても綺麗なのよって。その言葉を聞いた時に、ふっと浮かんだ曲なんですよ。そんな僕の旅の実体験が出てくる曲が多いからかな。ただ、この曲でロシアの白夜を想像してくださいって言う気はもちろんないし、白夜をイメージして書いた曲でもないから、これを聞いてくださる方の体験と共にこの曲は歩んでいけばいいと思いますよ」

――私なんかは最初、単純に、いろんなところを旅するような気分になるアルバム、と思ってたんですけど、cobaさんがいろんな旅の中で感じたことを曲にしたアルバム、ということなんですね。

「僕の人生の旅ですよ。『思いは灼熱』は明らかに恋に焦がれてるときの曲ですから。思いを伝えたいんだけど、なかなか伝わらないというような、じりじりとしたじれったい状況ってあるじゃないですか。そんな気持ちを曲にしたもの。単純に世界旅行しましょうっていうものではなく、人生そのものが旅なんです」

――『Happy-go-lucky』には歌が入ってますが、歌っているのはどなたなのでしょうか?

「これはフランスのアーティストで、milkymee。スウェーデンなんかでブレイクしてるアーティストですね。僕のパリの友人からメールが来て、今たまたまこういうアーティストが3ヵ月間日本で作品つくりをしてるから、よかったら連絡とってみてくれないって言われて、それで電話したのがきっかけですね。いろいろやってるうちに、すごくセンスが合うなって感じたし、彼女も僕のことをよく分かってくれたみたいで。それで「何かやるか!」って。出来たのがこの曲。彼女もすごく気にいってくれて、今度リリースする自分のアルバムにも入れるんです。そうやって2人のものとして作ったものです」

――『VIDEO GAME AGE』はすごいデジタルサウンドで。

「ちょっと懐かしい感じの曲でしょ。これも人生という旅の中で、ビデオゲームにハマッた時代があって。ビデオゲームってあの頃は言っていたけれど、いまやそんな言葉は死語でしょ。これはノスタルジーですよね。もうテクノって全然新しい言葉じゃなくて、むしろ懐かしい。YMOとかそういうイメージを連想させる言葉でしょ。俺たちビデオゲームが好きなのさって、男の歌(笑)」

――それぞれの曲にエピソードがありそうですが、他に印象的な曲ってありますか?

「『マドンナ』は、東京電力のCMソングですが、東京で消費される電気の60%は新潟県と福島県にある原子力発電所で作られてるんだそうです。それもある意味、電気の旅じゃない? この曲では、僕はとっても優しいワルツを書きたかった。「ワルツは死んだ」という言葉を書いた作家がいましたが、ワルツっていうのは基本的に人間の体に対応するように出来てないんです。歩行も1、2、1、2。偶数でしょ。呼吸も吸ったら必ず吐く。これも2拍子。目も2つ、鼻も2つ、口は1つだけど、耳も手も足も2つ。基本的に人間の生理は偶数の拍数に合うように出来ていて、それに逆らいたくてワルツのような曲が出来た。3拍子や5拍子は、割り切りたくないっていう感情と一緒にいる数なんです。だからこそ、歴史の重大な場面には必ずそれを象徴するワルツが存在したっていう事実があった。その『ワルツは死んだ』という言葉は、だからこそワルツを書くには恐ろしくスーパーなメロディセンスとか、人の心を狂わすまでのものを持ってないと名曲になりえないっていう話で、その話を書いたのは、松井(邦雄)さんという元TBSのディレクターの方なんですけど、僕はそれにとっても共鳴したんです。そんな話を聞いて、僕はワルツを守りたいって思ったし、自分自身もちょっとひねくれたところがあるから、やっぱり割り切れることだけでは世の中は面白くない。割り切れない、矛盾を抱えるからこそ人生は面白いと思うので、今回ワルツを書きたいと思って書いた曲。素直で無垢なワルツを書きたいなって思って書いたのがこの『マドンナ』。踊れるようなワルツが書きたいと思って書いたのが『Steppin’ drive』っていうメナードのCM曲です」

――そうやってワルツを作るということもそうですけど、様々なことにチャレンジしてますよね。昨年行った『音波少年』という舞台では、パフォーマンスとcobaさんの生演奏をコラボさせるというようなことも。そういったことが出来るのは、アコーディオンという楽器が、音だけですごく情景を想像させるものだからでは、とも思うのですが。

「それはおそらく空気を吸って呼吸する楽器だからってことでしょうね。アコーディオンってじっとしてるとただ重たい漬物石みたいな感じなんだけど、それが空気を吸った瞬間に生き物になるの。もちろんそれを生かすも殺すも人間の技なんだけど、化け物みたいな楽器だと思います」

――それは、空気を吸って生き物になるから、生命を宿した情景とマッチするということでしょうか?

「あると思います。空気を吸ったり吐いたりすることは呼吸でしょ。呼吸イコール生命だから。アコーディオンはそれを模倣して誰かが作ったわけなんだけど、やっぱりそこに空気が関係した段階で生きてるんですよ」

――生かすも殺すも人間の技、ということですが、今回お話頂いたようないろんな経験が作曲に影響したりはするんでしょうか?

「それは当然連鎖しますよね。例えば、僕は酒が好きだし、食が好きだし、器が好きだし、それは全部人の技で、1つの興味から始まるわけですよ。例えば食べることがすごく好き。そうすると、食べ物に必要なのは何かと考えるわけです。当然、ワインとかお酒を合わせますよね。そこの醍醐味を覚えてしまうと、ワインは銅の混合率が何%の器で飲むと美味しいなんてことになっていくわけ。そうやってどんどん広がっていく」

――本当にすごい美食家ですよね〜。

「いやいや、たまたまですよ(笑)。でも突き詰めていくと楽しいでしょ。そうすると、器が好きになるし、器が置かれる環境も気になる。そうすると、家具、家、街、みたいなとことまで興味が広がるわけですよ」

――cobaさんがアコーディオンで作っている楽曲も、基本的には言葉がなくメロディのみ。言葉に縛られず、何にでも通じる感性で作ってるから、それは食などとも通じる感性なのかもしれないですね。

「ああ、確かに。そうかもしれません。僕は人とアコーディオンという楽器を通じて会話をしてるわけです。だから、アコーディオンというひとつの言語体系を僕が持っていて、それを通じて、食と出会い、ワインと出会い、器と出会いっていう、様々な出会いをしてると思っていて。この楽器がなかったら僕には音楽という言語体系は与えられなかったわけで、きっとかなりつまらない人生を歩んでたんじゃないかなって思います」

――そんな様々な出会いを与えてくれるアコーディオンをたっぷり聴けるツアーが1月にあります。どんな内容になるか少し伺ってもいいですか?

「ちょうど今、どういう風に見せようかなって思ってるところです。“旅する少年”だから、旅したいなとは思っているんですよね。ステージ上に自分の街を出現させて、そこを出発点にして、いろいろ旅をして、またcobaの街に戻ってくるっていう、そういうストーリーを組み立てたいなと思ってます」

――ステージセットからいろいろ楽しめそうですね!楽しみにしてます。最後に、様々なことにチャレンジし続けているcobaさん。今後の目標は何かありますか?

「実はひとつ大きな話がありまして。オペラを作らないかって話をいただいているんですよ。これまで僕が企画してきたさまざまなステージ要素を融合しつつ、あっと驚くようなものを作れたらと思ってます」

――わ!それはすごいニュースじゃないですか!ついにオペラですか!いやぁ、それは本当にびっくりです。今後も楽しみにしてますね!今日は、ありがとうございました!

 

(1月11日更新)

本サイトに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)はぴあ株式会社の承諾なしに無断転載することはできません。

ページトップへ