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2年ぶりのニューアルバムが完成したばかりのソウル・フラワー・ユニオン
本作、そして現在の活動について奥野真哉氏に聞く

ソウル・フラワー・ユニオン

Live

●12月4日(土) 19:00
名古屋クラブクアトロ
スタンディング-4200円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
キッズチケット-2100円(別途ドリンク代必要)
ジェイルハウス[TEL]052(936)6041
※キッズチケットは高校生のみ有効。要学生証提示。ご入場は、整理番号をお持ちの方の後になります。但し、一般チケットをお持ちの方と同伴の場合は、同時入場可。障がい者1名につき介添人1名無料。要証明書提示。中学生以下無料(必ず保護者同伴で入場)

Pコード109-313

チケット情報はコチラ

Release

album『キャンプ・パンゲア』
12月15日(水)発売
3150円 
BM tunes
XBCD-1034

キャンプ・パンゲア

◎オフィシャルサイト
http://www.breast.co.jp/soulflower/

◎アルバム特設サイト
http://www.breast.co.jp/soulflower/
special/camp_pangaea/

 1993年から活動するソウル・フラワー・ユニオンは、世界各国の民謡、大衆歌謡を取り込んだ音楽性だけでなく、活動スタンスでも独自性を放つバンドだ。阪神・淡路大震災の際に行ったライブ活動。ヨルダン・パレスチナ難民キャンプや東ティモール独立式典でのライブ。政治的な立ち位置を表明することを恐れないその姿勢は、音楽ファンにとどまらない層から支持を獲得している。そんな彼らがこの12月、ニューアルバム『キャンプ・パンゲア』を発売する。力強い言葉、素直なメロディ、奇をてらわないアレンジ。要するにこのアルバムには、ここ数年のソウル・フラワー・ユニオンの活動がそのまま詰まっている。今回は、結成時からのメンバーのひとりであるキーボーディスト、奥野真哉氏に話を伺った。この日は毛皮のマリーズのサポートメンバーとして名古屋を訪れたように、キーボーディストとして数々のサイドワークもこなす彼。このニューアルバムをどうとらえているだろうか。

 

――アルバムとしては約2年ぶりとなりますね。

「ただ、マキシシングルとかちょくちょく出していたので、結構ベスト盤的な感じにはなってますけどね」

――最近の活動の雰囲気、というよりもライブの感じがすごく詰まってますね。

「メンバーがひとり変わったんですが、レコーディングやツアーを重ねて、やっと彼自身も馴染んできたところでアルバムが完成した感じがするんですよ。だから、わりと新たなソウル・フラワーの色もあるような気もするんですけどね」

――2009年に、ギタリストの高木克さんが加入しました。ソウル・フラワー・ユニオンのような、ある種、核がはっきりしているように思えるバンドでも、やっぱり雰囲気は変わるんですね。

「やっぱり変わるよね。バンドって、そこに集まる人数でひとつの小さい社会みたいなものを作っている気がするから、ひとつでも仕組みが変わっちゃうと、全然違う社会ができるっていうか。誰が変わっても違うバンドになるんやなっていうのは、今回のメンバー・チェンジでさらに思ったね」

――メンバー1人が変わるって、キャリアの少ないバンドには一大事だと思うんですが、ソウル・フラワー・ユニオンには変化を受け入れる強さみたいなものを感じます。

「キャリアの長いバンドって他にもたくさんいるじゃないですか。ピーズとかピロウズとか怒髪天とか。俺らもそうと思ってるけど、みな自分らの音楽っていうのが確立してる。好きな新しい音楽にいろいろチャレンジしたり、新しい要素を入れたりもするんだけど、やっぱソウル・フラワーになっちゃう。オリジナルのブランドになってるというか。これが長いことやってきたバンドの、ひとつの勲章みたいなものなのかなと思ったりするし。自分らにとっての強みでもあり、いいところだとも思うね」

――アルバムの内容について伺おうと思いますが、今回はソウル・フラワー・ユニオンのど真ん中ストレートのサウンドという印象でした。

「ここ最近は、中川の書く曲が呼び出す世界観みたいなものが自然と見えてくるしね。ある意味、すごく歌謡っぽいのかも知れないけど、曲がすごくいいから、そんなにアレンジ過多にならなくてもいいと思うし。今回のアルバムは特にそういう感じがする」

――あらかじめ想定したビジョンやジャンルがあって、そこに向かって作るというタイプの音楽ではありませんもんね。

「以前は曲のディティールの話をしていると、もっとモータウンっぽくとか、固有名詞的なキーワードが出てたけど、最近はそこまで具体的なものは出てこなくなって。ひとつのジャンルにこだわっても、なんか借りものみたいに不自然な感じになると思うんですよね。どういうジャンルやリズムをやっても、結局、中川の書くメロディと歌詞があって、それに新たなリズムを加えるのがソウル・フラワーだから」

――アレンジのシンプルさは、ここ数年の楽曲の特徴ですよね。

「今回、中川と話していたのは、すごくシンプルなものを作っていきたいと。バンドの核をすごくシンプルにしてタイトにしよう、そこで作り始めた曲は多いですね。リズム隊も作品を重ねるごとにタイトに良くなってきたから、シンプルな部分を目指せるというか。そこに新メンバーの高木君が入って、彼の持っているアーシーな部分にも彩られて、そのあたりがうまく調和したかなと。メロディも懐古主義なんかじゃなくて、すごくポップに響くのが面白いし。聞きなおしたら、そんな感じがしましたね」

――中川さんの書く曲も、ここ数年は何かまたひとつ覚醒した感じがします。『死ぬまで生きろ!』などは、本当にその典型ですが。

「以前はメンバー全員が大阪に住んでて、週に何回もスタジオに入っていたから、セッションっぽく作ってた部分があるんですよ。ここ最近はメンバーが住んでる地域も違ったりして、バンド演奏を重ねることで曲を作るというよりは、ある種、中川が形作った曲のメロディアスな部分を強調することに集中できてるのが、大きいのかなと思いますね。今はそういう時期のような気がしていて、今作はその方向性のひとつの完成形なんじゃないかな。これは俺自身が感じてるだけかもしれないけど、最近音楽を聞いていて、カッコイイとか面白いとか思う曲はよくあるんですけど、すっげーいい曲だと感じるものって少ないなと思っていて。気持ちの部分にヒットする曲。言葉とメロディとリズムがバシッとはまる曲。そういうのを求めているのかも知れないですね」

――最近のソウル・フラワー・ユニオンの楽曲は、特にライブでのお客さんへの届き方に本当に力強いものを感じます。いい音源を作るのももちろんですが、実際にその場所に行って演奏する、それをとても重視してきたバンドだからこその楽曲なのかなとも思えます。

「ビリー・ブラックっていうイギリスのシンガーが初来日した時、大阪の小さなライブハウスで見たんですよ。エレキ・ギターの弾き語りだったんですけど、俺、むちゃくちゃ感動して。それまでいろいろライブを見に行ったりもしてたんだけど、こんなに震えるぐらいに感動したことは無くて。1人のステージで、ギターも1本やのに不足感も無い。その時にこれがまさしくライブなんや!と感じて、ライブというものの見方がすごく変わった。俺はやってる立場やから観てる側がどう感じてるか分からないんだけど、俺がビリー・ブラックを見て感動したような、そんな気持ちになってもらうことを目指したいなと思ってる。そういうことを提供できる仕事を、まだできてるわけだし」

――海外も含め、ソウル・フラワー・ユニオンはとても色々な場所でライブをしてきましたよね。その経験、体験をダイレクトに楽曲やバンド感に反映するのは、このバンドの大きな特徴のひとつだと思います。

「取り巻く社会の状況があって、そのなかで生きていて音楽をやっているということも考えていきたいというか。もちろん、いろんなミュージシャンがいる。音楽は社会から浮世離れしているものでないといけないと思っている人もいるやろうし、ある種、絵本のような世界の音楽をやってる人もいるだろうし。でも、俺らが出会って経験してきたものは身近なものであったし、それこそ(阪神・淡路大)震災や東ティモールに実際に行って、現地を見てるから、そこから派生してくるものが強いと思うんですよ。そこでできた音だし、そこで音楽をやってきたわけで。だからすごく土臭いというか、あまり煌びやかじゃないとは思うんですよね。でも、それは仕方が無いというより、それでいいなと思える部分があるからやっているわけだし。何よりこういうバンドが居て欲しいって、自分らも思ってるんですよね」

――そういう意味でもバンド活動を続ける、いろいろなところでライブをするというのは、バンドにとって大きな糧になっていますよね。

「今、いろんな音楽がありますけど、本物だけが残る時代だと思う。さっき話したピロウズや怒髪天、コレクターズとかピーズとかグルーヴァーズって、ずっとやってるわけじゃないですか。そのやっていけてる状況っていうのは、彼らが本物だからだと思いたいし、現実にそうだから続けられていると思う。自分たちの音楽は自分たちがパイオニア、そういう人が絶対残っていくことになっていると思う。だから、長く続けているミュージシャンは信頼していますね」

――当たり前のことですが、続けていくと変化するもののひとつが年齢ですよね。これは中川さんやバンドメンバーの年齢もあると思うのですが、生や死をテーマにした曲が最近は多くなっています。ただ重苦しい空気感では無いところが、とてもソウル・フラワー・ユニオンらしいですね。

「こういう歳になってくると、まわりで友人が亡くなったりすることも多くなるから、宗教感とかじゃないんだけど、人間の死に直面した時に思うことが今までと違うっていうか。死んで骨になった人を見ると、金持ちも貧乏も関係ないなって思うし。きっと人間、みんなボチボチなんじゃないですかね(笑)。最近、細かいことが気にならないんですよ。みんないずれ死んでいくんだし楽しくやっていこうやと、極端に言えばそういう部分もある。もちろん、楽しくやっていくための努力はせないかんと思うんですけど」

――そういう普段思っていることや考えていることが、しっかりとバンドの音楽にリンクしているのは本当に素晴らしいことですね。

「自分の生きている状況と音楽を常にリンクさせたい、それはあるんかもしれん。まあ、基本はパンク・バンドやからね(笑)。中川もビリー・ブラックを見に行ってたし、いろんな音楽を知っていろんな情報も得ているけど、カッコイイと小さい時、若い時に思ったものって、そこで価値観ができてるような気がする。その根っこは変わらへんのじゃないかなと思う。俺と中川は、そこが似てるから続いているんだと思うしね」

 

(12月1日更新)

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