江戸時代後期の浮世絵界を代表する風景画家・歌川広重（1797-1858年）と、「昭和の広重」と称される版画家・川瀬巴水（1883-1957年）。両者が描いた美しき日本の風景を紹介する展覧会が開催中だ。

広重は、代表作『東海道五拾三次之内』や『六十余州名所図会』などで日本各地の名所風景を描いているが、全てを歩いて見たわけではなく、名所図会などの挿絵を典拠としている作品もあるようだ。しかしそれらも単なる転用や引用ではなく、独特の構図や色彩の妙により「広重の風景画」として成立させ、絶大な人気を誇っている。

一方、衰退した浮世絵版画を復興し「新版画」を確立した巴水は、日本全国を旅して版画制作のための写生を行い、「旅情詩人」「旅の画家」と言われている。

海外でも人気の高い両者の作品を通して、古き良き日本の美しい風景を堪能したい。